職場での嫌がらせ被害は、精神的な負担をもたらし、働く意欲を低下させるだけでなく、最悪の場合、仕事を辞めることに追い込まれることもあります。このような問題はパワハラやセクハラとは異なり、陰湿で気づきにくいものが多く、早期に対策を講じなければ被害が長期化してしまう可能性があります。そこで本記事では、職場での嫌がらせに特化した対応策や防止策について詳しく解説します。被害にあわれている方は、少しでも安心して自分を守れるよう参考にしてください。
- 職場での嫌がらせの兆候を早期に認識する
- 社内で報告する手順を理解する
- 嫌がらせを受けた時は心構えも大切
- 嫌がらせ防止のための企業の取り組み
- 嫌がらせ問題の解決に困ったら専門家を頼る
嫌がらせの兆候を見つける
嫌がらせの初期兆候に気付く重要性
職場での嫌がらせは、初期段階では見逃されやすく、知らず知らずのうちに深刻化することがあります。嫌がらせ事態が明確な言動ではない場合、社風や業務の一環だと正当化もされやすく、嫌がらせだと気づきにくいことが多いです。しかし、これらの行動が続くと孤立感を感じ、精神的な負担が大きくなります。そのため早めに嫌がらせだと判断し対処していく事が大切です。初期の兆候としては、以下のような行動が挙げられます。
- 頻繁な叱責や無視
- 仕事に関係のない無理難題を押し付ける
- ミーティングや社内イベントからの意図的な排除
- 過剰な監視やチェック
嫌がらせを受けている可能性が高い言動に着目
嫌がらせを受けている可能性が高い言動の特徴として、相手の態度や表情、言葉遣いが通常のコミュニケーションとは異なることがあります。例えば、特定の話題であからさまに無視される、会話中に嫌味や皮肉を含む発言が繰り返されるなどが該当します。このような場合には、その言動を具体的に記録し、相手の行動パターンを把握しましょう。また、他の同僚に対しても同様の行動が見られるかどうかも確認すると、より客観的な視点で判断できるようになります。
職場内での嫌がらせの広がりを見極める
嫌がらせは個人間だけでなく、職場全体に広がることもあります。特定の社員が孤立しやすい雰囲気や、チーム全体で特定の社員に対して冷たい対応を取るなど、集団いじめのような形態に発展するケースも少なくありません。こうした状況を把握するためには、職場全体のコミュニケーションの状態を観察し、異変を感じた場合には早期に相談することが重要です。
嫌がらせから自分を守るための心構え
自分を責めないことの重要性
嫌がらせを受けていると、どうしても「自分が悪いから」「自分に原因があるのかもしれない」と思ってしまいがちです。しかし、どんな理由があっても嫌がらせは正当化されるべき行為ではありません。まずは自分を責めることをやめましょう。嫌がらせを行う人は、相手をコントロールしようとすることが目的であり、被害者が苦しんでいる様子を見て満足することがあります。自分を責めることで相手の思惑通りになってしまうのです。自分を責める代わりに、「私は被害者であり、守られるべき存在である」という意識を持ち今後の対応や解決策を考えていきましょう。
自分の感情を大切にする
嫌がらせ被害に遭っていると、感情を押し殺してしまったり、「これくらい耐えなければならない」と思ってしまいがちです。しかし、自分の感情を無視し続けると、精神的なダメージが蓄積され、結果として心身のバランスを崩してしまうこともあります。自分の感情を無視せず、辛いときには「辛い」と認めること、そして無理をしないことがとても大切です。また、ネガティブな感情を吐き出すことも重要です。信頼できる友人やカウンセラーに話を聞いてもらったり、日記やメモに自分の気持ちを記録するなど、自分の感情を外に出すことで、心の整理ができます。感情を吐き出すことで、冷静に次の対応策を考える余裕が生まれるでしょう。
職場で嫌がらせを受けた時の対応策
冷静な対応が重要
嫌がらせを受けたとき、感情的に反応せず、冷静に対応することが大切です。怒りや悲しみを表に出してしまうと、加害者がさらに攻撃をエスカレートさせることもあります。まずは落ち着き、自分が受けた行為を客観的に評価し、対応策を考えましょう。
嫌がらせの記録を取る
嫌がらせの記録を取ることは、被害を訴える際に証拠として大いに役立ちます。例えば、日付、時間、場所、相手の発言や行動を詳細にメモに残す、メールの保存や録音を行うことなどが有効です。これらの証拠を元に、上司や人事部に相談する際や、法律的な対応を取る際に活用できます。
第三者に相談する
職場での嫌がらせ被害に遭った場合、一人で抱え込まず、第三者に相談することが重要です。まずは信頼できる同僚や上司に相談し、状況を共有することで具体的な対策を取ることができます。また、外部の専門家に相談することで、より適切なアドバイスを得ることが可能です。
嫌がらせを受けたらまずは社内に報告
社内での報告手順とそのポイント
嫌がらせを受けた際には、自分で直接対峙せず、社内の相談できる部署や人に相談しましょう。しかし、社内での報告手順を理解し、正しい手続きを踏むことが大切です。いきなり上層部に相談する事で問題が悪化したり、被害の立証ができずに揉み消されてしまう事も、そうならないためにも手順を踏み相談しましょう。以下の手順を参考にしましょう。
- 信頼できる上司や人事部門に相談する
上司や人事部門に初期相談を行い、被害内容を伝える。具体的な証拠を持参すると、話がスムーズに進みます。 - 社内のハラスメント相談窓口を利用する
会社に専用のハラスメント相談窓口がある場合は、そこに相談し、記録を残してもらう。 - 第三者機関への相談を視野に入れる
会社内での解決が難しい場合には、第三者機関(労働基準監督署や労働組合など)への相談を考えましょう。
嫌がらせ被害の相談先とサポート機関
職場で嫌がらせ被害に遭った場合、まずは信頼できる相談先に助けを求めることが大切です。一人で抱え込んでしまうと、精神的な負担が大きくなり、問題の解決が難しくなってしまいます。社内には相談がしにくい内容の場合にも活用できる相談先があります。自身の状況に応じた最適な相談先を見つけ、適切な対応を取ることを心がけましょう。
労働基準監督署や労働組合に相談する
社内での対応が難しい場合や、解決が見込めないと感じた場合には、労働基準監督署や労働組合に相談することをお勧めします。これらの機関は、労働者の権利を守るための公的な機関や組織であり、職場での嫌がらせや不当な扱いに対して適切なアドバイスや支援を提供してくれます。
労働基準監督署に相談するメリット
法律に基づいた対応が可能 |
労働基準監督署は、労働基準法や関連法規に基づいた対応を行います。職場での嫌がらせが法律違反に該当する場合、是正指導を行ったり、企業に対して改善命令を出すこともあります。 |
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匿名での相談も可能 |
自身の名前を明かさずに匿名で相談することもできるため、社内での立場が不安定な場合でも安心して利用できます。 |
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外部からの圧力 |
社内では対応してもらえなかった問題でも、労働基準監督署に相談することで、企業に対して外部からの圧力をかけ、対応を促すことができます。 |
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探偵や弁護士など専門家のサポートを受ける
嫌がらせ被害に関して、社内での対応が難しい、または労働基準監督署や労働組合に相談しても解決に至らなかった場合には、探偵や弁護士といった専門家に相談することを検討しましょう。特に証拠収集や法的対応が必要な場合、専門家のサポートは非常に有効です。
探偵に依頼する場合のメリット
嫌がらせの証拠を確保 |
探偵は、嫌がらせの事実を裏付ける証拠を収集する専門家です。目撃証言や録音、ビデオ映像などの証拠を確保し、嫌がらせ行為を立証するための資料を提供してくれます。 |
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周囲に知られずに調査が可能 |
探偵は、周囲に知られずに証拠を集めることができるため、職場内での嫌がらせ行為を見逃さずに記録できます。証拠を基に上司や法的機関に相談する際の材料として活用することができます。 |
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弁護士に依頼する場合のメリット
法的対応を検討 |
嫌がらせ行為が法的に違反している場合、弁護士は加害者や企業に対して法的な手段を講じることができます。内容証明の送付や訴訟提起など、法的措置を検討する際には弁護士の助けが必要です。 |
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精神的な安心感 |
弁護士に相談することで、法律の専門家としての立場から適切なアドバイスを受けることができ、精神的な安心感を得ることができます。特に、嫌がらせが長期化している場合や、職場での立場が弱いと感じている場合には、法的なサポートが有効です。 |
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嫌がらせ対策サポートでは、LINEからの無料相談も可能です。お仕事の関係や電話の時間がとれない場合など、24時間いつでも相談可能で利便性も高くご利用いただけます。
企業が嫌がらせ防止のためにするべき事
職場での嫌がらせ問題は、従業員個人同士の問題と捉えてはいけません。企業においてもハラスメントと同様に嫌がらせの防止対策をしっかりと行う事が大切です。実際に、嫌がらせが発生してしまいそれらが公になる事で企業イメージや従業員のパフォーマンスにも大きく影響するからです。以下のようなことを取り入れ嫌がらせ問題が起きないように対策をしていきましょう。
職場環境の定期的な評価と改善
職場での嫌がらせを未然に防ぐためには、職場環境を定期的に評価し、必要に応じて改善を行うことが重要です。定期的なアンケート調査や面談を実施することで、従業員が職場内で感じている不満や問題点を把握しやすくなります。また、外部の専門家を招いたワークショップや意見交換会を開き、従業員が自由に意見を表明できる機会を作ることで、風通しの良い職場環境を築きましょう。特に、ハラスメントの初期兆候を早期に発見し、素早く対応する体制を整えておくことが効果的です。
オープンなコミュニケーションを促す風土作り
職場のコミュニケーションが閉ざされていると、嫌がらせが起きても周囲が気づきにくく、被害者が孤立しやすくなります。健全な職場環境を作るためには、オープンなコミュニケーションを促進し、誰もが意見を出しやすい風土作りが求められます。チームビルディングの一環として、定期的なランチミーティングやレクリエーション活動を行い、職場内での交流を活性化させましょう。また、日々の業務の中でも「ありがとう」や「お疲れさま」といったポジティブな声かけを行い、互いを尊重し合える職場文化を育むことが重要です。
社員のメンタルヘルスケアの強化
職場での嫌がらせは、被害者に深刻なメンタルヘルス上の影響を与えることがあります。そのため、社員のメンタルヘルスケアを強化することが、健全な職場環境作りに欠かせません。産業医やカウンセラーによる定期的な面談を実施し、心の健康状態を確認する体制を整えましょう。また、メンタルヘルスに関する情報提供やストレスチェックの実施、必要に応じたサポート体制を構築することで、社員一人ひとりが心身ともに健康に働ける環境を目指します。
まとめ
職場での嫌がらせ被害は、ハラスメントのように法により規制がある問題と異なり、陰湿で気づかれにくく、また対応もしにくいことが多いですが、被害者に大きな精神的負担をもたらします。まずは、嫌がらせの種類や特徴を理解し、自分が受けている行為が嫌がらせに該当するかを確認しましょう。その上で、冷静に対応し、解決に向けて動いていきましょう。また、企業側は職場全体で防止策を講じ、嫌がらせのない環境を目指すことが重要です。職場での嫌がらせ被害に悩んでいる方は、相談先や専門家の力を借りて、自分を守る行動を取りましょう。決して一人で悩まず、自分の心と体の健康を大切にしてください。

この記事の作成者
ハラスメント・嫌がらせ対策担当:北野
この記事は、皆様が抱えるハラスメントや嫌がらせの悩みに寄り添い、解決への一歩を踏み出せるきっかけになればと作成しました。日々の生活の中で困っていることや、不安に感じていることがあれば、当相談室へお気軽にご相談ください。どんな小さなことでも、お力になれれば幸いです。

この記事の監修者
XP法律事務所:今井弁護士
この記事の内容は、法的な観点からも十分に考慮し、適切なアドバイスを提供できるよう監修しております。ハラスメントや嫌がらせは、決して許されるべきものではありません。法的に守られるべき権利を持つ皆様が、安心して生活できるよう、法の専門家としてサポートいたします。

この記事の監修者
心理カウンセラー:大久保
ハラスメントや嫌がらせの被害は、心身に大きな負担をもたらします。この記事を通じて、少しでも皆様の心の負担を軽くし、前向きな気持ちで生活を送っていただけるように、内容を監修しました。あなたの気持ちを理解し、寄り添うことを大切にしています。困ったことがあれば、どうか一人で悩まず、私たちにご相談ください。心のケアも、私たちの大切な役割です。
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